名古屋交通概論3 ~空港乗り入れに意味が見えたのか~

さて、2017年3月の間に、名古屋市バスが1つの実験をしていたことをご存知だろうか。

市バス黒川11系統の北部市場行の路線を豊山町にある県営名古屋空港まで伸ばしてみる実験だ。


黒川11とは、愛知県豊山町の南端に位置する名古屋中央卸売市場北部市場から北区黒川駅までを結ぶ路線。大半は北区にある如意車庫前と黒川の路線になっているが、北部市場発着が実は本線となっている。

朝の時間帯は多くの人で混みあい、定時運行など夢のまた夢な路線だったりするのである。


そんな路線が、県営名古屋空港へやってきた。

これについて書き記しておきたい。


市外延伸は比較的名古屋市交通局は積極性を見せており、現在現行路線として大治町へ大きく市バスの乗り入れを行っている。そのため、町内に名古屋市の施設を持つ豊山町に市バスが乗り入れるのはそこまで不思議な話ではないのである。

今回の目的として、交通局はこう上げていた。


「市外延伸により、名古屋市から県営名古屋空港へのアクセスを便利にする」とか何とか…


そして、名古屋駅、栄駅など、主要駅へ啓発ポスターをそれこそ何枚も貼って準備をし、満を持したかは知らないが、かくして3月1日から乗り入れ実験が始まったわけである。


もちろん、私も通学の足に存分に活用させていただいた。朝と夜ではあったが、それなりに通勤通学客の需要があったため、これを見限るわけにはいかないだろう。


なんせみんな

「どうせなら路線が来てほしい」


もちろん人数として運行黒字になる人数とは到底思えないが、それでも、需要が確認された点は大きく評価すべきことだろう。

また、市バスが好きな性分、自分の住む町にあのバスが来るのはなんだかうれしい気分だったし、事実歩行距離、移動距離が本当に削られたので重宝した。


何なら、恒久的に入ってきてほしい。定期券もあるし。


ここから、諸方面の話と参与観察による、冷静な分析をしたい。


まず、結論として、このままでは実験路線恒久化は無理だろう、ということだ。

私の思うところを順にみていきたい


①バス停配置の不親切さ

バス停を置くには法による手続きが必要なので、1か月のために市バスは新設停留所を置くことをしなかった。中間停留所として設けたのは、既存のあおい交通が運行するコミュニティーバスのバス停である。

すると、北部市場から次の停留所が8分くらい走りっぱなしとなり、これまたかなり無駄。

こんなわけで、川より南側、豊場地区の需要を全く掘り起こせなかったことは1つの課題だろう、


②真っ向な黒字ではない。

営業所の話では「実際思っていたより人は少ないし、すぐに導入しようといえるほど運賃収入もよくない」と。

また、乗ってみての感想は、確かに固定利用が少ない。

また、お昼時間帯には激混みになったという運転士が言うには「パスを持った年配の方が満載だった」ということなので、おそらく、てかほぼ間違いなく敬老パスだろう。これでは増収にはつながりづらい。


③やっぱり不便

バス停が少なすぎるし、一般の市バスより本数が少ないため、これでは利用価値が薄い。

北部市場延伸となり、北部市場行や始発の時刻を変えずにやったため、1時間1本、昼間は2時間1本など、過疎地ダイヤだった。

その割に、回送時刻が変わることから、このために市バスは車両運用スケジュールを組みなおしたりして、結構負担だったようだ。


そんな観点からも、現状導入は難しいだろう。


このうえ、町のコミュニティーバスが黒川まで行ってしまうし、国道41号線ノンストップのコミュニティーバスなので、市バスより早い。しかも増税据え置きをしたため、市バスより10円安いのだ。


では、どうしたらいけるか。


まず、ルートはこの前の実験通りでいい気がしている。あれが一番早いだろう。

ついで国道41号線沿いに2つくらいバス停がほしい。

これに本数を実験の倍にしないければ乗れないだろう。


しかし、本数を増やすとなると、どこかから車両を転属させなければならない、実際この実験の折に、交通局の猪高営業所と緑営業所からバスが1台ずつ来た。


また推測を出ないが、市バスが入れば豊山町からコミュニティーバスが撤退する。

そうなると、町内の交通が一気に変容することとなる。


個人的には定期券が使える市バスが来るに越したことはないが、広く町民の意見を鑑み、今後導入するのであれば、期待をしたい。

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