今、「ホームドアはよ」という世論がすさまじいですね。
東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、白状をついた方が転落、轢死するという痛ましい事故が発生して以来でしょうか。
そのあおりを受けてか、JR東海もついに金山と刈谷に設置する方向で動きました。
これで動いていないのは近鉄と名鉄。
いつになったら入れる動きがあるのか。
…多分無理です。
先に立場を明確にしておくと。私はホームドアには賛成ですが、世論にあおられて焦ってつけることはしなくていいと思っています。
「列車のホームは、欄干のない橋」と揶揄されますが、それは世の中そのものが寂しくなっているからであり、危険を感じても声をかけない、かけられない雰囲気があるからではないかと思っています。
そんで、ホームドア1つにしてもかなり高いので、そこじゃなくてまだ人間がやれることがあるだろう、っていう話です。
ちなみに桜通線丸の内駅はホームドアがありますが自殺がおこっています。完璧に防ぐのはやはり難しいってもんです。
話を戻しましょう。
ホームドアは駅にぽいっとつければそれで終わりではありません。
駅側の問題もさることながら、車両のほうが大変なのです。
車両側の設備として、ホームドアの位置と列車停止位置があっているかどうかを示す合図機が必要。そして、列車内操作をするならば、車掌ドアスイッチからホームドアの制御ができるように改造を施さねばなりません。
しかも、ドアのある位置だけホームドアが開くとなると、そこに止まれる車両がとんでもなく限定されます。50cmドア位置がずれるだけでとんでもないことになります。降りれない…なんてことに。
つまり、車両側の改造もばかにならないのです。
名古屋で言うならば、以下のようになっています。
【設置済み】
新幹線名古屋駅、東山線、桜通線、上飯田線、リニモ、あおなみ線
名鉄空港線中部国際空港駅
【設置予定】
名城線、JR東海道線金山駅、刈谷駅
【予定なし、未発表】
鶴舞線、名鉄線、近鉄線、JR中央線、関西線、愛知環状鉄道、豊橋鉄道、名古屋ガイドウェイバス
※ガイドウェイバスに関しては、ドア部分以外に柵あり。バスタイプなので急停車出来る。
ん?予定なしのところに、明らかに人が多い路線もありますね。
なぜでしょうか?その理由は以下。
①車種不揃い
特急車は扉二つ。近郊車は扉三つ。通勤車は扉四つ。この時点でアウトですね。
②定点停車装置(TASC)の価格が高い
地下鉄などでホームドアをつけようものなら、いちいち運転士の手で合わせ、オーバーしてしまったら戻し戻し、なんてやってたら、遅延は間違いなし。なので、停止のみ自動運転のTASCを入れたい。もちろんそんなシステム、高価。
③TASC装置を積む場所がない
古い車両は運転室が狭い。積む場所なんてどこにもない。
実際東山線の古い車両はホームドア対応ができないために引退しました。
④ドアの位置が若干違う
若干でも大違い。特に鶴舞線は地下鉄車と名鉄車でほんの僅かに違うのもあって、導入予定がありません。
ローブ式ホームドアはどんな車両も行ける素晴らしいものですが、世論的に見て、安全に劣るようで。
欄干ができるからいいと思うのですが。
ホームドアを入れられない事情もわかってほしいのが鉄道会社の本音かも。
ホームドア導入を叫ぶ前に、我々ひとりひとりが駅の他人に目を向けましょう。
こんな文章読まずに、右か左に困ってる人がいないか見てください。
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